「自分軸で生きる」 

誰だって自分を知る旅の途中 だからこそ自分を知ることの楽しさを伝えるブログ

29回グロースセミナー3日目その2

朝食が終わり、今日これからやる実習を伝える。

 

ボクは、その日に何をやるのかを事前に伝えることはしない。

やる事は、やるときに伝える。

 

「次何やるの?」の質問には答えない。

 

それでも、なんとなく、今日がマウンテンバイクの実習であることが伝わっているせいか、初参加の子どもたちも、ソワソワしている。

 

「これからやることを伝える」

 

「うんうん」

 

「今日は天気もいい」

 

「はいはい」

 

「熱が少し高い子供もいるけど、食欲もあるようだし」

 

「うんうん」

 

でかい声でいちいち合いの手を入れてくるのは、RNT。

もうワクワクが止まらないって感じ。

だから子どもの純粋さがたまらなく面白い。

 

「うるさいRNT!黙って聞いてろ」

 

笑いが起こり、全員が、RNTの回復を喜んでいる。

 

「マウンテンバイクの実習をやります!」

やったー、と次々に歓声が上がる。

 

「それでも、この実習は、とても危険です。最初の5キロは急坂で、特に1年生はブレーキを握る力が尽きてしまう。スピードはいやおうなしに上がる。

足で止めようなんてしたら大けがをする。」

 

道を挟んで広大な牧場が広がっているせいか、その坂が緩やかに見えるのだけれど、坂は思った以上に急坂だ。

 

「それだけじゃないぞ、上り坂も幾つもある。おまけに疲れ切ってからの最後の道は砂利の道で、ハンドルを取られてしまう。街中で自転車に乗って楽しいっていうのとは全然違う」

少し大げさに聞こえるかもしれないけれど、ボク自身何度もヒヤッとした経験をしている。

 

「安全に、グループで協力し合って、中央公園まで30キロ走ります。」

「この実習をやるかどうか、話し合って決めてください」

 

子どもたちは、前のめりで話し合い、あっという間に、やんま、ひるめしの2チームが、「全員やります!」と返事。

 

ところが、まいまいと、やんまの2チームは、なかなか話が決まらない。

 

こういう時は、ひたすら待つ。

 

待って待って、話し合いが膠着状態になった頃を見はからってから、

「はい、全員注目」と声をかける。

 

決まっていないチームのリーダーに

「何が起きているのか教えて」と聞く。

 

JRA(4年)がやりたくないと言ってる」

「SOU(1年)がやらないと言ってます」

 

 

「チームのみんなはどうしたいんだ?」

 

すかさず、「一緒にやりたい」と返ってくる。

 

そこで、ひとりひとりにあらためて聞く。

 

最初は、やんまの1年生SOU。

「SOUはどうしたいんだ?」

言葉はない。

「やらないって聞いたけど、そうなのか?」

言葉はなく、うなづく。

 

「理由は?」

、、、、、、、

 

理由ははっきり言わないが、おそらく恐怖。

 

誰にも言わずに恐怖を心に抱えたまま、実習に向かうのはとても危険だ。

だから、言葉がない子どもにはていねいに聞いていかなければならない。

 

ようやく

「坂がこわい」という。

 

「まだ走ってもいないけど、やらないのか?」

SOUはうなづく。

 

ボクの中で迷いがある。

SOUは発熱がある。

 

チャレンジしないままあきらめさせたくはないけれど、体調の事もある。

ボクは、一旦それを受け止めることにした。

 

「わかった」

 

全員が、息をひそめるように成り行きを見守っている。

グロースに来る子どもたちは、こういう時にじれたり、茶々を入れて来ることがほとんどない。

一緒に集中して聞いている。

 

「次、JRA。」

「どうした?」

 

「やらない」

 

「理由は?」

 

「怖いから」

 

JRAは去年、相当怖い思いをして、急坂をなんとかやり遂げたな?」

「そして、今年はチャレンジするって決めてたんじゃなかった?」

 

「でも、やりたくない」

 

これも、29年やってきて初めてのケース。

かなり頑なになっている。

去年の恐怖が、記憶に残っているのだろう。

あまりにも怖くて、ブレーキをにぎる力も弱く、走り出すと自分では止められない。

7~10メートルずつ下りていった。

それでも、ブレーキが握れず、イントラやボクが、カラダで止めた。

5キロを降りるのに、2時間近くかかった。

 

「そうか、わかった」

JRAの気持ちも一旦受け止めることにして、それ以外の子どもたちに準備をさせる事した。

 

グロースでは「やらない」というのは、決めた事にはならない。

グロースだけに限らない。

「決める」というエネルギーは、能動的な事に対してその力が働く。

どんなに力強く「~しない」と言っても、それは、決まっていないのだ。

「二度とたばこを吸わない・・・」

「ぜったいにもうしません・・・」

これは、決めてはいないという事。

 

だから、2人にも、「やること」を決めてもらう。

マウンテンバイクに乗らない子どもがやることは、

クルマで伴走し、大声で応援すること。

「やるか?」

2人とも、力強くうなづいた。

 

子どもたちがロッジへ走っていく時に、ボクはSOUを呼び止め再度確認した。

「まだやっていないことを、君はやらないと決めたね?」

「せめて、出発前の練習だけでもやってみる気はないか?」

と聞くと、なんと、二つ返事で「やる!」という。

「それじゃ、一緒に準備してこい」

SOUは元気に走り去った。

 

JRAにも同じことを聞く。

彼女の意思は相当固いようだ。

それでも、練習はやってみるという。

 

一歩踏み出す。

そのチャンスを何とか作り出し提供する。

そして、最後は本人が決める。

いや、最後という言い方はおかしい。

いつも、その瞬間の自分が決めるのだから。

 

ともかく、二人は小さな一歩は踏み出した。

 

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ヘルメット、ひじあて、ひざあてを身に着け、周辺で練習する。

リピーターには、

「油断するな!気を緩めるな!」と念を押し、ときどきふざけている子どもには、

「こらーっ!」と、どやしつける。

その度に、子どもたちに真剣さがにじみ出てくる。

バイクに乗るためのフィジカルな準備だけでなく、これも、大事な心の準備の時間。

 

初参加組には、特に目を光らせる。

一人ひとり呼び出して、道路の坂で、ブレーキングの確認をする。

 

「はい、ブレーキ握る!」

「はい、離す!」

 

これを何度か繰り返し、その通りにやらせる。

 

SOUにもやらせてみる。

なんと、意外にも簡単にやってのける。

本人も、実に楽しそうに練習している。

 

SOUに再度確認してみる

「どうしたい?」

「やりたい!」と、即答。

「よし、でも、君は朝、熱があった。出発前にその熱の状態によってはやりたくても、やらせることは出来ない、いいか?」

SOUはうれしそうだ。

 

練習を十分にした子どもたちは、順番にロッジ前の階段にチャレンジする。

わずか、10段ほどの階段だけれども、初めての子どもたちにとっては、勇気がいる。

 

おっかなびっくりだけれども、やり遂げた時に訪れるほっとした気持ちと、気分は最高だ。

 

1年生も次々にチャレンジして、その度に歓声が上がる。

 

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でも、今度は中学1年のCHRのチャレンジが始まった・・・・・

 

・・・・・3日目続く

29回グロースセミナー3日目その1

毎晩、子どもたちがロッジに戻ると、リーダーたちとのミーティングをする。

 

KCH、MIK、KOG、TKH、そして事情によって遅れて参加したYTAの5人。

 

今日の一日を振り返り、明日を創り出していくために、困った事やうれしかった事などを共有していく。

 

その中で、昨晩KOGが、

「グループにまだまとまりがない。だから明日は、自分がグループに何を与えていけるのかをグループ内で話し合いたい」

と言った。

 

まだ、グループが一つになっている実感がないと言う。

ひとりひとりがグループシップに意識を向けるために、とてもいい提案だった。

 

そして、3日目の朝 6時起床、6時30分ロッジ前に集合。

相変わらずの快晴。

 

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気持ちのいい朝。士幌高原の朝は霧で始まることが多いのに。

念のために1年生全員の体温を測る。

KSR、MHR、MSK 問題なし。

RNT 36.9度。よかった。

SOU 37.7度、、、、、んん??

 

今度はSOUだ。

朝から熱中症か?

でも本人はいたって元気そうなので、しばらく注意して見守る事に。

 

集合時間前に、イントラチームから、ボクに報告があった。

「しばしば、昨晩、RNTがロッジに戻ったら、RNTの布団が敷いてなかった」

「それで、どうした?」

「仕方がないので、寝ている子どもたちの布団をずらしてスペースを創ってそこに敷きました」

「イントラが?」

「はい」

 

ボクは、常に「起きた事を、その時に扱って、みんなにとっての学びにする」事を心がけている。

昨日あった事や、もっと前にあった事を持ち出して、

「あの時に、こうだった、ああだった」という後出しは嫌いだ。

 

起きたその時こそ、学べる最大の機会だから。

 

「リーダーたちを起こさなかった理由は?」

「・・・・・・・」

理由は、きっとある。

子どもたちはすでに眠っていたのだから。

でも、ボクの言葉に、イントラは直面する。

こういうことも、ボクたちにとっての大事な学び。

 

さて、このことを子どもたちとどう共有するか、としばし考える。

集合して、体操や5分間チャレンジをしてから再度集合。

 

やはり、このことは後出しではあるけれど、学びにする価値があると判断して、ボクは

子どもたちにこう伝えた。

 

「昨晩、RNTが元気になって帰ってきました。」

自然に拍手が起きる。

「それで、ロッジに戻って寝ようとしたら、RNTの布団が敷いてなかった。その事に、気づいてた人は?」

 

当然、誰もいない。

楽しげな雰囲気が一変する。

 

ボクは起きた事実をできるだけ、そのまま伝える。

 

リーダーたちは、当然のように直面していく。

特にRNTのいるチームのリーダーTKHは、初めてのリーダー体験。

 

「RNTを部屋に連れ戻ったら寝る場所がなかった。そして、イントラがみんなの布団をずらしてスペースを作って、布団を敷いた。このこと、お前たちはどう感じる?」

 

こういう時に大事な事は、誰も悪者にしないこと。

加害者も、そして被害者も作り出さない。

責めれば、反省はするかもしれないけれど、「怒られている」と感じれば感じるほど学びにはつながらない。

ボクがすることは、学びや気づきにつながる環境の提供。

 

たとえば、

「どうして布団を敷かなかったんだ!」

「なんで、気づかなかった!」

「きのう、あんなことを言っていたのに!」

「なんで、RNTのことを考えなかったんだ!」

「RNTもお前たちの大事な仲間なんだぞ!」

などなど。

 

相手を責め、相手を悪者にして、自分の正しさを振りかざしても大事な事は伝わらない。

 

「自分のグループのメンバーのことを大事にできてるか?」

「RNTのグループだけの事じゃないぞ。他のみんなも、自分がいるグループの一員として、これから自分に何が出来るのか、考えてみろ。」

 

くしくも、昨日KOGが望んだ、

「自分がグループに何を与えることができるのか」をさっそく共有することにつながった。

 

グループごとに、結局20分近く話しあっていた。

 

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子どもたちはリーダーを中心に真剣に話し合う

 

こうやって、グループが少しずつひとつにつながっていく。

 

ちなみに、当のRNTは、、、、特になんとも感じてはいなかったようだけれど。

 

ソウ、キミハ ゼンタイニ トテモダイジナマナビノキカイヲ アタエテクレタンダヨ

 

純粋であればこそ、ただそこにいるだけで与える存在になる。

 

3日目は盛りだくさん。

 

忙しい一日が始まる。

 

29回グロースセミナー2日目その3

最近は、スマホでのやり取りが可能になったけれど、グロース発足当初は、まだケイタイそのものがあまり普及していなかった。

 

その頃に山登りで活躍したのは、トランシーバー。

 

チームのイントラ(インストラクター)同士、そして、ボクとの連絡は、雑音とタクシー無線が入る、トランシーバーだけだった。

 

そのことで、かつて、ひとチームの行方がまったく分からなくなるという遭難事件(?)が起きたのだけれど、それも今は昔。

もちろん、いろんな勘違いの重なりで起きた、今では笑い話のエピソードだけれど。

 

29年もたった今は、LINEやfacebookを活用し、常に、他のチームの動向が確認できる。

 

下山途中で、サポーターからLINE連絡が入る。

「ひるめしーず、バナナポイントの少し先でRNTが頭痛で休んでいましたが、今出発」

*バナナポイントは、今回名付けられた、休憩場所の名前。登山口まであと40分。

 

14:30 全チーム下山し、RNTを見ると、かなり元気。

山頂で走り回っていて、疲れが出たのだろうとたかを括っていた。

 

まずは、全員揃ってやり遂げた自分を承認し、ロッジへ。

ロッジで少し遅めの昼食をとる際に、RNTが発熱していると報告がある。

 

体温は、38度を軽く超えている。

こりゃ、熱中症かもしれないと思い、両脇と頸椎を氷で冷やす。

グループの子どもたちも、心配そうにのぞき込んでいる。

本人は、疲れもあったのか、もうぐっすり。

 

即、士幌病院に電話連絡をし、診察の依頼をするとすぐに連れてくるように、と。

 

今日到着したばかりのサポーターのさだにお願いをして、病院まで車で連れていく。

結局士幌病院では治療できず、帯広の小児科へ。

 

他の子どもたちは、登山後に、ヤマダニチェックをしなければならない。

そのために約1時間ほどかけて、上士幌の温泉施設へ出かける。

 

風呂場でひとりひとりの体をチェック。

ヤマダニは、頭を皮膚の内側に食いついて、簡単には取れない。

食いついたヤマダニを取るときには、慎重に引き抜かないと頭だけ皮膚の下に残ってしまう。そうなると厄介だ。

 

ボクも何度も被害にあっている。

幸い、今回は、ヤマダニ被害の子どもは誰もいなかった。

 

ところで、病院に行ったRNTのその後は・・・・。

 

さだからの電話の近くで、RNTの声が聞こえる。

「いやだぁ、かえりたーい、はやくかえせー。」

と大声で泣き叫んでいる。

「熱が下がらないと帰れないんですよ」という看護師さんに

「だったらはやくなおせーー!」

 

点滴中に大声を出せるほどに、元気なRNT。

何とも頼もしい。

「RNT、しっかりなおして帰って来い。あしたから、みんなと実習をやるために。だから、今は先生のいう事を聞いて、おとなしくしてるんだぞ」

 

RNTは、小さな声で、

「うん、わかった。」

でもすぐそのあとに

「みんなは今何をしているの?」

 

その間、本隊の子どもたちは、上士幌の航空公園近くの滑走路で、熱気球体験。

 

さすがにそれを伝えるのは、心苦しかったけれど、正直に伝え、

「必ず来年体験しよう」と、伝え電話を切った。

 

熱気球体験は、29年前からお世話になっている、気球のオヤジ、山下さん。

山下さんのお弟子さんは、全国にいるほどのレジェンド。

風が強いと、気球をあげることが難しい。

 

18:30 滑走路は風が強かった。

まずは、気球を広げて準備を始める。

 

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滑走路に、子どもたち全員で、慎重に広げていく。

 

 

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山下のオヤジ。今回は新品の熱気球を用意してくれた

 

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強力な扇風機で空気を入れた後に、バーナーの火で空気を温める

 

「30分もすれば風がやむから、待ってて」

山下のオヤジは、風を読むことができる。

言った通り、風は止み、夕焼けの空に熱気球が浮かんでいく。

 

長い、一日が終わった。

 

そうそう、もうひとつ。

11時に帰って来たRNT。

今夜の夕食は、腹ペコのRNTの大好物、鶏のから揚げ。

それを楽しみに帰って来た。

食べながら、RNTに

「お母さんに話したいことはあるか?」と聞くと、

「うん」という返事。

 

電話をすると、お母さんが何かを話しているのか、唐揚げを口の中にほおばり、うんうんとうなづいている。

 

しばらくして「終わった」、と言って電話を切ろうとするRNTに

「お母さんに伝えたいことがあるんじゃなかっけ?」というと、

 

電話口のお母さんに、みるみる涙をいっぱいためながら、

 

「ママ、ありがとう」

 

電話を切ったあとに、

「どうして泣いてたの?」と聞くと

「うれしかったから」

 

もう大丈夫だ。

おやすみRNT君。

 

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夕空に浮かぶ熱気球。オヤジはこれを提灯(ちょうちん)と呼ぶ



 

 

 

 

29回グロースセミナー2日目その2

朝の5分間チャレンジを終えて、まずは、朝飯づくり。

 

山頂で食べるおにぎりを、自分の手で握る。

 

「おにぎり作った事がない奴はいるかぁ?」

 

・・・・・・・

 

誰もいない。

 

ところが、

手に水をつけすぎていたり、

反対に水がなくて、手のひらがご飯粒だらけになっていたり

ラップがないとにぎれないと言い出す始末

 

 

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手際よく握る1年生もいる

 

それでも、何とか作り終えて、登山入り口まで移動。

 

午前7時、約10分間隔で、グループごとに出発する。

 

最後のグループがチームふしなま。

 

出発間際になって、長袖を着ていない1年生MHRがいる。

 

山は、クマザサ、岩場があり、長袖は必須。

 

確認すると、MHRは

「持っていない」という。

 

持っていないはずはない。

昨日のテント設営の際にも、MHRは同じようにように服の準備ができていなかった。

これで2度目。

 

でも、こういう時にしばしばに叱られるのは、当事者ではなくリーダー。

 

間違いは誰だってあるけれども、それを何度も繰り返していることを叱られる。

 

おまけに、そのリーダーはMHRに

「さっきないって言ってたじゃん」と、若干被害者気味。

 

二人はしばしばに、どやされて大急ぎでロッジまで取りに行く。

 

グロースのリーダーは、学ぶことが多い。

起きた出来事を、つい人のせいにしてしまう意識を、

「自分が(も)それを作り出している」という、責任の立場を学ぶ。

 

これは、大人の社会でも全く同じ。

誰かのせいにすれば、責任がないように感じる。

時には、上手くいかないことをだれかではなく、自分のせいだと自分にダメだしすることもある。

 

誰かのせい、自分のせいにして、問題が解決するなら、いくらでもすればいい。

でも、それじゃあ、問題は解決しないし、誰も満足はできない事を知っている。

 自分主体で考えた時に、初めて見えてくるものがあり、同じ間違いを繰り返さないで済むようになるのだ。

 

ようやく2人が戻ったと思ったら、今度はMHRは帽子をかぶっていない。

 

「MHR、帽子は?」

あわてて、また二人でロッジまで。

 

笑えるけれども、当事者はもう必死。

 

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出発前の話し合い


 被害者でいる限り、学びは何度でも繰り返される。

チームで話し合い。

リーダーだけの責任でもない。

ふしなまチーム全体で、二度と同じことを繰り返さないための話し合いを始める。

 

これが、グロースの良いところ。

実習することがメインではなく、実習に向けて常に心と向き合い、仲間たちと試行錯誤する。

これがグロースの、一番の学びであり、子どもたちにとって、よい学びになっている。

 

結局このチームが出発したのは、8時を過ぎていた。

 

日差しが強く、山頂まで、やく2時間半。

途中、休憩や、いくつかのネイチャーゲームを実施しながら登り続ける。

 

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登山道は、クマザサや、木の根の道、ナキウサギの生息する岩場など、さまざま

 

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音いくつ?、色いくつ?、サウンドマップ、その時に応じてネイチャーゲームを実施

 

白雲山は、霧や雲に覆われていることが多い。

雨に濡れながら登ることも。

でも、今年は快晴。

 

暑さでバテながらも、時折見える景色に疲れも吹き飛びます。

やがて、山頂への最終アタックの岩場。

 

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冷や冷やしながら見守る

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そして、山頂からの絶景。

アイヌの神 竜神が住まうと言われる然別湖

 

息を切らせ、声を掛け合いながら登り続けたご褒美は、格別の景色だった。

そして、待ちに待った朝食。

 

リュックの中で、ペシャンコになった握り飯は、自分で握ったからこそ、最高のご馳走。

 

食べ終わった子どもたちは、何度も岩場を上り下りしている。

特に1年生のRNTは、大声をあげながら、岩場を駆け上がったり、寝そべったりして、大はしゃぎ。

 

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然別湖(しかりべつこ)

全員で登頂したことを承認して、下山。

ところが、下山の途中で、思わぬ出来事が進行中だった。

29回グロースセミナー2日目その1

起床は5時。

 

東の空が赤く染まる。

例年、雨が多く、特に朝は霧が下りていることがほとんどの士幌高原が、今朝は晴れ渡っている。

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もういくつかのテントからは声が聞こえる。

 

昨晩は、それなりに冷えたものの、雨も降らず3枚の毛布にくるまってぐっすり眠れたようだ。

一つのテントだけ、洪水?になってしまったけれど・・・・

 

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テントを撤収し、ロッジ前に集合。

 

今日の予定を子どもたちに伝える。

 

山に登る実習を予定している。

この山は、地元の小学生は3年生になってから登る。

急斜面や、クマザサでふさがれている道、岩場、登頂するには、数々の困難がある。

時には、クマが山道をふさいでいたこともある。

1年生が5人。

全員で安全に登頂し、下山する。

このことをやるかやらないかを、グループで話し合う事。

 

正直、1年生の体では、全身を使ってよじ登らなければならないような場所がいくつもある。

その代わり、山頂から見る景色は絶景。

アイヌの神が住まうという湖、然別湖が眼下に見える。

 

子どもたちが、真剣に話し合いを始める。

リピーターたちは、山の大変さをよく知っているからこそ、初参加の子どもたちに丁寧に説明をしている。

 

約10分後。

 

全員が「やる!」と決めた。

 

2日目のプログラムが始まる。

 

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29回グロースセミナー初日

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まいまい

やんま

ふしなま

ひるめし

 

グロースセミナーで、子どもたちが決めた、グループの名前。

 

どういう意味があるのかは不明。

 

なんでも、自分で、自分たちで決めるグロースは、こんなグループ作りから始まる。

早朝に羽田を飛び立ち、北海道十勝の士幌高原へ。

 

生涯にわたって使い続ける人生の価値観を、人はみな12歳までにそのあらかたを作り出すと言われている。

 

そのもっともな影響を与えるのが、親と先生。

 

その価値観が、個人にとって役立つもであれば、人生が比較的うまくいくし、役に立たなければうまくはいかない。

 

親も先生もいない大自然の中で、わずか5日間の合宿ではあるけれど、子どもたちは、新しい価値観を、自分自身に役立つ価値観を、自分自身で創り出していく。

 

 

 

1年生男子R 

1年生男子M 

1年生女子K

1年生女子M

1年生男子S

 

5人も1年生がいるグロースは今回が初めて。

この5人に加えて、初参加が4名

 

総勢20名の小中学生で彼らのドラマが始まる。

 

士幌町の原生林での実習を終え、士幌高原ロッジヌプカ。

初日は、高原にテント設営。

 

小学5年生の初参加男子A君。

かれは、何度も何度も、

「センセイ、次は何やるんですか?」

「センセイ、夜はどこで寝るんですか?」

「センセイ、この後はどうすんですか?」

と、聞いてくる。

 

グロースでは、こういった質問には答えない。

なぜなら、今やる事をやる、から。

そこに集中し、グループ全体で取り組んでいく。

 

でも、そういう事が不慣れな子どもはいくらでもいる。

そういう子どもたちに、どう対応していくのか。

 

グロースではとてもシンプルに、子どもに問いかける。

「オマエは、どうしたいんだ?」

 

親として、先生として、答えを言ったり許可を与えることは出来る。

 

どうすれば正しいのか、先生に叱られないのか、お母さんに褒められるのか、を考えて、「どうすればいいですか?」と子どもたちは聴いてくることが多い。

 

でも、グロースではしない。 

常に子どもたちに主体的に考えさせる機会を与えていく。

「キミは、どうしたいのか?」と。

 

夕食の準備。

子どもたち何人かで研いだ米を飯盒で炊く。

 

自然の中では、何を食ってもうまいけれど、子どもたちのにぎやかな声を聞きながらの夕食は格別。

 

夜9時30分に寝る。

子どもたちはそう決めて、それぞれのテントに向かった。

 

明日は5時起床。

 

一日の終わりは、リーダーたちとのミーティング。

 

中1のM

中2のT

中3のKe

中3のKo

一日を振り返り、明日の備える。

今日上手くいったこと、うまくいかなかったこと、困っていること、などを共有していく。 

 

グロースでは起きることがきちんと起きる。

 まさかの展開が待っている事は、まだこの時点では誰もわかっていない。

 

 

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都会の空から十勝の空へ

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約2か月ぶりのブログです。

 

サボってました。

 

異常気象が続き、台風までいつもとは反対のルートをたどった。

もうこれは、異常ではなく、ただシンプルに通常がなくなってきているということ。

 

いつも通りの朝を迎え、日中を過ごし、いつも通りの夜を過ごす。

ときどき、サプライズがあって人生にリズムが出来て、楽しみを味わう。

 

こんな「いつも」はなくなって、「クロノスの時*1」 から、「カイロスのとき:*2」へ意識の変革を促されているような気がする。

*1 過去から未来に向けた連続的で直線的な時間

*2 今この瞬間、主体的で内的な時間

 

現実の中の大切な時間を過ごすだけでなく、今、目の前に在るもの、そこにいる人に、真剣に、そして淡々と向き合って生きる。

 

朝晩の瞑想は、そんなひと時を過ごす助けになっている。

 

明日の朝、東京を離れ、十勝へ移動します。

29年目を迎えた「グロースセミナー」で、20人の子どもたちと、冒険してきます。

 

子どもたちも、都会の時間から逃れて、大自然の中の時間に入っていきます。

そこにどんなドラマが起きるのか、たっぷりと味わってきます。

 

先発隊からの報告によると、猛暑は十勝の士幌高原にも訪れているようだ。

15年ほど前までは、都会がどんなに暑くても、士幌高原では長袖、時にはフリースでも震えていた。

 

そうやって、また「いつもの時間」を期待してしまう。

今年は、今年の時間が待っている。

 

4泊5日をとことん堪能してきます。

 

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15年前の士幌高原