第30回グロースセミナー5日目完結編
最終日の朝は早い。
10:30には、ヌプカを出発しなければならない。
6時起床
子どもたちが集合するまでに、イントラは毎朝ミーティングをする。
気持ちを引き締め、気持ちを一つにして、その日をスタートさせる。
ロッジやBBQハウスの清掃を全員で終えて、いよいよ出発前の最後の実習は、
ミドルネームの宣言。
自分の夢を実現するために、自分を力づける言葉を、苗字と名前の間に入れる。
あきらめない
自信を持つ
前に進む
などなど、自分で考えて名前を決める。
そして、ひとりずつ、十勝平野に向かって、大きな声で宣言する。
さて、順調に進んでいたけれど、ASTのチームが始まらない。
どうやら、初参加の4年生NKのミドルネームが決まらないらしい。
しばらく待っていたものの、出発時間が迫ってくる。
やむを得ず、ボクが直接かかわることに。
NKは、うつむいて泣いている。
「どうした?」
「・・・・・・・・」
リーダーのASTをはじめ、チームでサポートはしているものの、NKの反応はなく、泣くばかりだという。
NKにじっくりと寄り添い、ようやく聞き出した答えが、
「やりたくない」
だった。
「理由を教えてくれるか?」と言う問いかけにしばらくたってから
「恥ずかしいから」らしい。
この「恥ずかしいからやらない」というところからNKは一歩も動かない。
「みんなの前で、大声で叫ぶ」のは、確かに「恥ずかしいこと」なのかもしれない。
でも、恥ずかしさの後ろ側に「本当の気持ち」がある。
「本当の気持ち」に気づかないことは、大人のボクたちだっていくらでもある。
「恥ずかしいからやらないということは、恥ずかしくなければやるということ?」
NKは泣いたまま答えない。
「そうか、それじゃ一つ教えてくれ。
NKは、今みたいに泣いてやりたくないっていう気持ちになることは、普段もあるのか?」
しばらく考えていたNKはうなづく。
「そんなとき、どんな自分だったらいいなと思う?それをミドルネームにしてみたらどうだ?」
無言だったNKは、しばらくすると、「考えが浮かばない」と言う。
「じゃあいくつか、アイディアを言うから、その中にあるかどうか考えてみて」と伝える。
NKは、その中から、
「決められる人」を選んだ。
もちろん、ここまでにもうだいぶ時間は経過している。
「NK,、じゃあ、それを今ここで言えるか?」と聞くと「うん」とうなづく。
「NKの大事なチャレンジだから、みんなにも集まってもらうけどいいか?」とNKに確認してから、全員を呼び寄せる。
NKの周りに、子どもたちやスタッフが彼女を囲むように集まる。
「さあ、NK、その『決められる人』をミドルネームにして言ってみよう」
「・・・・・・・・・・〇〇 決められる NK」
ものすごく小さな声だけれど、自分の声で言えた。
ミドルネームはお決まりで、3回言うことにしている。
「もう1回」
「・・・・〇〇 決められる NK」
「もう一回」
「〇〇 決められる NK」
3回言い終えると、全員から大きな歓声と拍手。
「恥ずかしいからやりたくない」NKは、結局全員の前で宣言した。
NKが踏み出した一歩は、きっと彼女の心に大きく刻まれたはずだ。
このミドルネームで、グロースセミナーのすべての実習が完了。
30回目のグロースも、無事に終えることができました。
4泊5日
残念だけれど、子どもたちのチャレンジの一つ一つを紹介しきれない。
各チームに起きたドラマもたくさんある。
そのドラマが、子どもたちの心の中で生きて育っていってもらえることを、心から願う。
ロッジヌプカの皆さん、
士幌高校や、士幌農協、士幌交通を始め、ご橋梁頂いた士幌町のみなさん、
保護者の皆さん、
スタッフ、
士幌のオヤジ
すべての方々に、感謝します。
ありがとうございました。
また、来年を楽しみにしています。