「自分軸で生きる」 

誰だって自分を知る旅の途中 だからこそ自分を知ることの楽しさを伝えるブログ

1年1組せんせいあのね

「あのねちょう」で名が知れている鹿島和夫先生。

 

1年生の児童と、毎日「あのねちょう」で交流を続けてきた。

 

古書で購入した『1年1組せんせいあのね」シリーズを読んでいると、子どもの視点がほほえましい。

いや、それどころか、その視点の鋭さや奥深さに驚かされる。

 

あのねちょうにある えぐさ たくや君の詩

「にんげん」

せんせい

にんげんは

なんのためにいきているんですか

ぼくは

たっぷりあそんで

たのしむためだとおもいます

せんせいはどうおもいますか

 

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先日、今年のグロースセミナーのファイナル「フォローアップセミナー」があった。

 

ひとりひとりを承認し、あっという間に楽しい時間が過ぎてしまった。

最後は、中学3年生の3人の卒業式。

 

この3人の保護者達は、一様にこのグロースセミナーに感謝の言葉を涙ながらに伝えていた。

「自立していく喜びと、母親の役割を卒業していく寂しさ」を分かち合ってくれていた。

 

卒業する3人には、今まで描き続けた絵や作文を返し、まだ幼かったころの写真を貼った寄せ書き帳を渡した。

 

きみにとってグロースって?

最後に彼らに聞いてみた。

 

しばらく無言の後に、絞り出すように「言葉にはできない」と答えたKIC。

来年はイントラで帰ってくる、と力強く宣言していた。

うれしいことを言ってくれる。

 

「居心地のいい場所」と答えたYTAは、海外の高校に留学することを決めた。

 

東北大会で銀賞を取ったブラスバンドの演奏を聴かせてくれたKGAは、2回しか参加していないのだけれど、「毎年自分を変えてくれるところ」と答えていた。

 

彼らの心の中に、グロースはこれからも長く生き続けていくし、そうあってほしい。

 

そう、人生は楽しむためにある。

だから、試練があって、苦悩もある。

それがあるから楽しさは倍増する。

 

子どもたちは、いつも、それと知らずに真理を口にする。

 

 

 

 

 <特別講演会と親ゼミナール>

www.shiba-miraisozo.com

グロース後記

7月にスタートした今年のグロースも終わった。

あとは、17日のフォローアップを残すだけ。

 

季節が変わり、あの夏の出来事がずいぶん昔のことのように思えてくる。

 

ボクが、子どもたちとのかかわりを始めたのは、30年前。

大宮の小学生対象の大宮JCの活動だった。

 

最初は、まったくうまくいかなかった。

気負っていたし、まだボクも若かった。

必死に、子どもたちをコントロールしようとしていた。

だから、思い通りにはいかない。

集合!と声をかけても、反応するのは低学年だけ。

どんな実習をやっても、手ごたえはなく、子どもたちとのつながりは全く作れなかった。

 

信頼がない。

あの時の、挫折感や無力感は今でも覚えている。

というよりも、その経験から学んだことが、今のボクの軸になっている。

 

本気でかかわること

あれこれ考えずに、目の前の出来事に飛び込んでいくこと

子どもたちの力を信じること

 

ボクにできることは、子どもたちがどうしたいのかを、その心の声を聴き続けることだけだった。

 

そんなボクと子どもたちとのかかわりに興味を持ってくれた、旺文社の編集者がいる。

山野友子さん。

 

彼女が手掛けた「学校では教えてくれない大切なことシリーズ」が、ベストセラーになっている。

 

この、子ども向けのシリーズは、子どもだけでなく、親はもちろん学校の先生たちも愛読していると聞く。

 

それなら、と言うことで、親向けにも新しい企画で出版することになり、ボクに声がかかったという次第。

 

「監修をお願いします」と言われ、気軽に「いいですよ」と答えたものの、話しが進むうちに監修と言う役割が、思っていた以上に責任重大だということに気づかされた。

 

ライターの方や、編集者の山野さん、と何度も何度も打ち合わせを重ね、ついに919日に書店に並ぶことになりました。

 

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親が知っておきたい大切なこと② 「自分で解決できるようになる友だち関係」

 

友だちに仲間外れにされたとか

貸したものを返してもらえなかった、

好きな子と同じ班になれなかった事で悩んだり、

 

子どもたちは、ほんの些細なことで悩みます。

いや、些細なんてことは言えません。

悩みに大きいも小さいもないのですから。

 

我が子が悩んでいることが気になると、親は、ついつい介入しすぎてしまうことがあります。

でも、その心配は、子どもにとっては大きな負担。

子どもは子どもで、介入されたことで返って心を閉ざしてしまいます。

おまけに親同士の面倒なかかわりもある。

心配するのは親の仕事、なんていう人もいるけれど、親は親で悩みは多いのです。

 

そんなとき、子どもにどうかかわればよいのか、と言うボクの経験からのアイディアが、漫画と解説付きで紹介されています。

 

親と子ども、先生と生徒、悩ましい問題は、そこに信頼が創り出されないこと。

子どもの立場から見れば、信頼できる大人がいない。

 

グロースでは、好き嫌いはあるだろうけれど、そこには絶対的な信頼関係が築き上げられている。

子どもたちとしばしば、イントラ、サポーター、そして保護者。

ボクが、グロースの原点で学ばされた、子どもとの関わりで一番大事なこと。

 

 

「これだけ長く、子どもの心に寄り添ってきて、信頼を創りだしてきているんだから、そろそろ、あなたのその独特なアプローチを世の中に伝えていくことも必要なんじゃないの?」とパートナーである千桂子先生に繰り返し言われた。

 

その瞬間瞬間で目の前の子どもに飛び込んできた。

その都度子どもたちから学んできたことばかり。

果たして言葉にまとめられるのかどうかはわからないけれど、せっかくなので、この機会に、「親向けゼミナール」を開講することにしました。

 

カール・Gユング(分析心理学)は、こんな言葉を残しています。

「子どもたちのことで、何かを直してやろうとするときには、いつでもそれは、むしろ我々の方で改めるべきことではないかと、まず注意深く考えてみるべきである」

 

親自身の成長があって、初めて子どもの成長に向き合える。

 

私の経験が役立つのあれば、是非時間を取っていらしてください。

 

イントラ、サポーター、士幌のオヤジたち、気球の山下さん、士幌高校のみなさん、ロッジヌプカの支配人とスタッフの皆さん、ご理解いただいている保護者の皆様、そして、参加した子どもたち。

今年のグロースも、素晴らしい時間をみんなで創り出せたことを誇りに思います。

 

長期間にわたるブログをお読みいただき、ありがとうございました。

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29回グロースセミナー最終日

東京では早朝から30度を超えるような暑さの中、士幌高原の朝は気温9度。

 

7時に起床し、朝食をとってから部屋の片づけや清掃をする。

 

10時30分にはこのヌプカを出発しなければならない。朝から忙しい。

 

ロッジ前に荷物出しを終えて、9時30分に高原の少し高台で集合する。

ここで、最後の実習「ミドルネームの宣言」をする。

 

ミドルネームは、苗字と名前の間に、自分の夢を実現するために大事な言葉を入れて宣言する実習。

 

自信

本気

あきらめない

全力

信じる

 

こんな言葉をミドルネームに選ぶ子どもが多い。

士幌の町を見下ろす高原から大声で宣言するのは気持ちいい。

 

ミドルネームを考える時間、そしてそれを全員が宣言する時間を考えると、ぎりぎり。

 

9時20分。

ボクが、高台で待ち受けていると、続々と準備を終えた子どもたちが上がってくる。

 

ところが、はるかロッジ周辺でリーダーたちが集まっている。

スタッフに様子を見に行ってもらうと、

「AOTが、ハンカチをなくしたみたいでリーダーたちと荷物の中を探している」という。

 

そういえば、AOTは小さなタオルのハンカチをいつも持っていた。

 

9時25分。

突然、リーダーから、

「みんなー、こっちに降りてきてー、AOTのハンカチがないから、みんなの荷物の中をさがしたいからー」と声がかかる。

 

全員がロッジまで行こうとするところを、すぐに止める。

「ちょっと待った! もう集合時間になるから一旦こちらに集まれ」

 

9時30分を少し回った頃に全員集合。

「リーダー、何が起きているのか教えてくれ」

 

すると、KOGが、

「AOTのハンカチがなくて探していた。」という。

 

AOTは、

「もともとなかったのかもしれないからもう大丈夫です」という。

 

KOGは、

「いや、AOTが持っていたのを僕は見ているから絶対にある。AOTの荷物の中にはなかったから、誰かの荷物に紛れているかもしれないから、探したい」という。

 

時間が、気になるけれども、うやむやにはできない。

「そうか、KOGは、探したいんだね?」

「はい」

 

AOTは「もういいです。大丈夫ですから」と何度も言う。

 

「大丈夫じゃないよ、ちゃんと探さなきゃだめだよ」と言う声がかかる。

 

他のリーダーは?と聞くと

KICは、

「全員の荷物を探すのは大変だから、AOTの近くにいた人の荷物を探せばいいと思う」

MIKも、同意見。

 

YUTは、

「今は探す時間もないし、家帰ってからでいいんじゃね?」と、合理的な意見を出す。

 

当の本人は、探さなくてもいいと言う。

リーダーたちの意見は、それぞれ。

 

そして現実はこのことを話しあっている時間があまりない。

 

「よし、整理しよう、KOGは、探したいんだね?それはどうして?」

すると、

「そのハンカチを持っているのを確かに満たし、絶対にあるんだから探したい」という。

 

リーダーたちの意見は、それぞれにAOTへの思いに溢れている。

「まぁ、まぁ、そこんところはいいんじゃないの?AOTもいいって言ってるし、ハンカチ程度の事なんだから」

と済ませることは出来るんだけれども、グロースでは、こういうことが起きたときこそ子どもたちにとっての大事な時間になる。

 

みなさんなら、どうするでしょうね?

 

その時のボクは、ひとりひとりの意見を聞き、ひとりひとりの意見に共感した。

リーダーたちは、それぞれ自分の考えを言い、その考えは、AOTを大切に思う気持ちが表れている。

 

誰の意見が正しくて、誰の考えが間違えている、なんてことは全くない。

こういう時に大事なのは、それぞれが、自分の考えをきちんと表明したこと。

だからこそボクには、それを判断することはできない。

できることは、それぞれの意見を尊重することだけ。

 

KOG、KIC、MIK、YUT大事な意見をありがとう。ただ、残念だけれども、残された時間は少ない。この大事なことに簡単に結論を出すことは出来ないから、いったんしばしばに預からせてくれるか?」

 

うなづくリーダーたち。

 

「AOT、お前のハンカチのために、時間のない中でこんなに真剣にかかわってくれてるぞ。みんなになんか、言う事はないか?」

 

「ハンカチは持ってたのかどうかわかんないです。みんなで探してくれて嬉しいです。みんなも頑張ってください。

 

???? このとんちんかんな応答がAOTのユニークなところ。

結構緊張した場面で、全体を一気に和ませてくれる。

つい「おいおい、お前のことだよ頑張るのは」と突っ込みを入れたくなるところだけれど、全員大爆笑。

 

一旦このことを完了して、大急ぎで、ミドルネームの準備に入る。

グループごとに、決まったミドルネームを宣言していく。

 

大声を出せる子もいれば、声を張りあげることの出来ない子どももいる。それでも順調に進んでいた、はずなのだけれども、CHRのところで、、、、止まってしまった。

あの、MTBの階段チャレンジで、なかなか踏み出せなかったCHR。

 

元々言葉は少ない。

宣言の場所に立ったものの、ずっと居心地の悪そうな様子で、宣言をしない。

しばらく待ってから、

「CHR、ミドルネームは決まってるのか?」

と聞くと、まだ決まっていないという。

 

「そうか、ミドルネームの宣言はしたいのか?」と聞くと、ゆっくりとうなづく。

 

「じゃぁ、決めて宣言しよう」とうながすものの、いくら待っても黙っている。

 

CHRは、ボクとはほとんど話さない。

けれども、グループの子ども同士や、サポーターに笑顔で話し込んでいる姿を何度も見てきた。

だからCHRには間違いなく表現する力はある。

でも、それまでの人生で、何かを伝えることをやめなければならなくなってしまった「何か」があったにちがいない。

 

過去の自分に囚われてしまうことは、誰にだってよくあること。

そのことで、つい

臆病になったり、

人を信じなくなったり、

弱気になったり、

ネガティブになったりする。

 

自己肯定感がなくなってしまう。

そしてそんな自分を本当の自分だと思ってしまう。

そんなはずはないのに。

 

CHRはまだ中学1年生だ。

いくらだって、新しい自分を生きることができる。

いや、もともとの自分を取り戻すことができる。

 

MTBのときに、CHRは、新しい自分に会えただろ?今もそうだ。一歩踏み出して、また新しい自分に会ってみよう。しばしばがアイディアを出すから選ぶっていのはどうだ?」

 

CHRが小さくうなづく。

 

〇〇自分を信じるCHR

もうひとつは、

〇〇一歩踏み出すCHR

 

どうだ?

 

しばらくの沈黙ののちCHRは、小さな声で、

一歩踏み出す、を選んだ。

 

よし、それを宣言しよう。

 

このやり取り、気づいたらずいぶん長くやっていた。

 

その間、ボクとCHRのやりとりは、全く聞こえていなかったにもかかわらず、全員ずっとこのやり取りを見守っていた。

 

全員が、こういった瞬間を大事にしているし、

全員が、それを自分のことのように受け止めている。

 

CHRは、小さな声で、宣言した。

 

CHRが、勇気をもって一歩踏み出したことに、ボクはとても心動かされた。

 

CHRの宣言後、イントラ、サポーター、そしてボクも宣言をして、大急ぎでバスに乗る。

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宣言したミドルネームを最後にもう一度全員で。

ロッジのスタッフの皆さんに手を振りながら、ヌプカを後にする。

あわただしくも、充実した5日間だった。

 

帰りのバスの中では、毎年恒例?の忘れ物の入った紙袋が置いてある。

名前が書いていない下着、タオル、ジャージや時には靴も。

 

袋の中を見ると「うん?」

 

「忘れ物があります!さてだれのかな?」

と、ボクが取り出したのは、あの、ハンカチ。

 

事情を察した全員が、大爆笑。

そう、AOTの、あのハンカチだ。

それだけじゃない。

ADIDASのソックス、タオル、ジャージ、次々と出てくるものはほとんどAOTのものだった。

 

ちゃんと、君は、みんなを笑顔でつなげてくれる。

楽しさの源だ!

 

バスの中は、5日間で子どもたちが作り上げた、あたたかで安心で、そして飛び切りの楽しさであふれている。

 

この帰りのバスの中で、うたた寝をするのが、ボクにとっての至福の時間だ。

 

29回目のグロースが終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

29回グロースセミナー4日目その2

夕暮れの中、ラストイヤーの3人が点火して始まったキャンプファイヤー

 

グロースセミナーでは、最終日の夜に、4日間を振り返る大事な完了の時間を迎える。

 

子どもの頃のキャンプは、大人になっても心に残っている。

 

川遊びをしたり、森を歩いたり、虫取りをしたり、焚き火で飯盒炊爨をしたり。

どんなキャンプでも、子どもたちにとっては楽しい。

 

このグロースも、テント、登山、熱気球、MTB、ナイトハイク、高原実習など、盛りだくさんのプログラムがあるけれど、、、、

実はそれだけでなく、その実習に至るまでの「濃密なそしてとても大事な時間」を子どもたちは過ごしているから、より心に残るのかもしれない。

 

その時々で

自分の気持ちに気づくこと

したいことを自分で決めること

なおかつ、ひとりだけではなく、それを仲間たちと共有すること

上手くいこうが、上手くいくまいが、そんな時間を過ごした自分を認めること

これを繰り返す。

 

このプロセスを、グロースでは「承認する時間」と呼んでいる。

 

誰でも、褒められるのは嬉しい。

でも、それ以上に心に届くのが、「承認」

 

この違いを伝えるのは、簡単ではない。

(だからちょっと宣伝。近々、親ゼミを始めます。)

http://questnet.co.jp/information/14704/

 

「よく頑張ったな、えらいぞ」

「すごいじゃないか、さすがだな」

こういった誉め言葉は嬉しいし、励みにもなる。

 

「頑張っているのを見ていて、嬉しかったよ」

「すごいなぁ君は、、、ボクも君のようになりたくなっちゃったよ」

承認の言葉は、誉め言葉に似ているけれど、少し違う。

伝わることが、何か違う。

心に届く。

 

子どもへの関わりだけでなく、人との関わりでこの「承認」を身につけることは、関係性を劇的に変えていく。

 

キャンプファイヤーでは、イントラが一人ひとりに承認の言葉をかけていく。

黙って聞いている子どもたちの、嬉しそうな顔や、中には涙ぐむ子どももいる。

 

最後に、「〇〇と一緒に、グロースの体験ができて、楽しかったひとぉ!」と聞くと、

闇の中から、「はぁーい!!」とみんなの声が聞こえる。

 

キャンプファイヤの火が、子どもたちのやさしい表情をチラチラと照らしている。

 

そろそろ終えようとした頃に、病院からTKHとSOUが元気に?帰ってきた。

全員から大歓迎を受ける。

大事な仲間が無事に帰って来た喜びがあふれる。

 

薪のはぜる音を聞きながら、全員が一人ひとりに集中してその存在を認めている時間。

子どもたちが、お互いにふれあい、ハグしたり、笑いあっている。

この静かであたたかな時間が、ボクはたまらなく好きだ。

 

今年のグロースも、例年通り、いろいろあった。

なんとか、ここまでこぎつけた。

 

でも、最終日にも、まだまだドラマが待っていたとは、、、、、

 

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29回グロースセミナー4日目その1

快晴が続いていた士幌高原。

 

雲が出ている4日目の朝は、気温が12度。

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東京は早朝から30度を超えていたらしい

今朝は8時起床。

それまでの間に、ボクは、サポーターのフミトとヨウスケと一緒に、高原をロケハンする。

 

今日の午後に行うサポーターゲームの下見。

実は子どもたちは、このサポーターゲームが大好きだ。

毎年、大興奮でチームで必死に取り組む、高原全体を使った、まるでロールプレイングゲームの様。

このゲームの目的は、二つ。

一つは、いつも裏方で支えてくれていたサポーターたちと、子どもたちが直接交流する時間を作ること。

もう一つは、4日間で創り上げて来たチームシップを、彼ら自身が実感すること。

 

午前中は、ネイチャーゲーム。

目隠しイモムシ

目隠しトレイル

スラックライン

高原でのビジョンの絵

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イモムシのように高原を歩き回り、後からどこを歩いたのかを探す。五感を使う

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スラックラインは、最近注目されているスポーツ。簡単には渡れないから子どもたちは何度もチャレンジする

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見渡し限りの景色が自分の国だったとしたら、、、。子どもたちのビジョンが描かれる

子どもたちは、気持ちのいい高原でのびのびと実習を体験していく。

 

そして、昼食の後、いよいよサポーターゲームのスタート。

毎年この問題を考えるのに、夜なべをして(表現が古いけど本当の事)やっている。

この問題を皮切りに、各グループが、サポーターたちが待ち受けている1,2,3,4のポイントに行って、課題を一つ一つクリアしていく。

 

一つクリアするたびに受け取るキーワードが、最終問題となっていて、それに正解するとゴールだ。

 

子どもたちは、ワクワクしながら、時には頭を抱えながら取り組む。

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難題を解く子どもたち

 

全チームがスタートの問題をクリアした後、やんまのSOUがまた発熱している事が判明。

朝の段階では熱も下がっていたのだけれども、やむを得ず彼のチャレンジは中断されて、ロッジで休ませることに。

 

順調に各ポイントをクリアしていく途中で、ひるめしーずのリーダーTHTがMTBで転倒。

かなり深い傷を負っている。

処置が必要と判断し、またまた

「さだー!病院!」

高熱になってしまったSOUも連れていくことに。

さすがにさだ一人では大変なので、今回は同じくサポーターのよりこも付き添ってもらった。

 

これほど病院通いを繰りかえしたグロースはなかった。

 

ボクたちスタッフは6月に、このグロースセミナーに向けてしっかりとグランディングする。

参加目的を明確にし、成長と貢献を宣言する。

その際に、全員で決めた5つの心得がある。

その中の一つ

「安全の源」

 

子どもたちに、その環境を提供しきれなかったことが悔やまれ、反省しきり。

グロースはいつも危険と隣り合わせで、でも、安全を作り出してきたからこそ29年継続してこれた。

だからこそ子どもたちも、ボクたちスタッフも本気のチャレンジができる。

 

発熱も、ケガも、二度と起きないようにと、ボクにあらたな課題が与えられた。

学びは、尽きることがない。

 

5時。

最後の夕食は高原でのバーベキュー。

 

サポーターだけでなく、気球のオヤジ、山下さんも差し入れを持ってきてくれた。

子どもたちは、本当に士幌のオヤジたちに愛されている。

 

日が落ちてくる。

キャンプファイヤーの準備

29回グロースセミナー3日目その6

「恐怖」という感情は、人間が死に直面した時に味わう自然な感情。

 

お父さんが怖い、とか、先生が怖い、という時の感情は、「恐怖」とは区別されている。

 

高いところから下を見下ろした時、

突然大きな音に出くわした時

そして、夜の闇

 

最後の実習は、夜の9時過ぎに始まった。

 

ナイトハイクは、子どもたちに、夜の森を感じてもらうための大事な実習だ。

目に見える大木や、木漏れ日、風に揺らぐ木々の葉を楽しむのも素敵な事。

 

グロースのこの実習の目的は、自分の恐怖心と向き合うこと。

  

子どもたちに、この実習について伝えていくと、毎回の事だけれども、次第に緊張感が高まっていくのを感じる。

 

「森の中を子どもたちだけで歩きます。

歩いて、800歳になるミズナラの木があった場所まで行く。

チームに一本のロープを渡すから、それを右手でしっかりと握る。

そうすると、縦一列になります。

懐中電灯は各チームに1本だけ、先頭のリーダーが持つ。

リーダーになる人は、何度かこの道を歩いた事のある人。

この森には、動物たちがたくさんいる。

クマも住んでいるかもしれない。

動物たちは臆病だから、自分からは襲ってくることはない。

先にスタッフが、大きな音を立てて、動物たちを追い払います。

グループで一つになって、これをやり遂げる。

そしてこの実習は、最後まで全員無言。」

 

「それじゃぁ、この実習をやるのかどうか、グループで話し合って決めてください」

 

緊張感の漂う中、話し合いが始まる。

RNTSOUは、体調が万全ではないので、ボクの判断でロッジで休ませることに。

 

ただ、元気なMSKが、行かないと言い出したのには驚いた。

1年生とはいえ、これまで果敢にチャレンジをし続けてきたMSK

 

MSKの目はとても真剣で、強い意志が伝わってきた。

それでも、ボクは、それを簡単に受け入れることはしない。

 

やらない理由は何か?

できるなら、本当はどうしたいのか?

みんなから助けをもらえるとしたら何が欲しいか?

 

ひとつひとつを確認していく。

 

そして、MSKのチームにも、他のチームにも聞く。

MSKと一緒にこの実習をチャレンジしたい人は?」

ほぼ全員の手が上がる。

 

それでも、MSKの意思は変わらない。

自分の意思で、「やらない」と決めた事を確認し、それを全員で受け入れた。

 

ボクは、単に許可を与えることはしない。

こうしたまどろっこしいプロセスを必ず踏む。

自分で決めるための、環境を常に与える。

グロースを率いるリーダーとして、どちらが良いかどうか、どうするべきなのか、を判断材料にせずに、子ども自身が「どうしたいのか?」を優先する。

「したくない」事ではなく「したいこと」を。

 

結局、MSKは、RNTSOUと3人で「ロッジで待つ」ことを決めた。

 

MTBのコースとして数十年前に整備された森を、一本のロープと懐中電灯ひとつで、歩く。でも、今は手入れもされていないため、MTBのコースとしては使えないほどに、樹木や草が生い茂っている。

 

子どもたちは、そのロープを右手で握り、縦一列になって約2.5キロを無言で歩きます。

スタッフは、各チームの約20メートル後ろから、無灯で追う。

 

夜行性の動物たちは、息をひそめて、ボクたちを見ているに違いない。

その気配をひしひしと感じる。

耳を済ませなくても、すぐ近くを小さな動物がミシミシと足音をさせながら歩く。

闇夜は、ほんの数メートル先も見えなくなるから(極端に言えば、自分の手のひらさえ見えない)、恐怖のイメージが、否が応でも広がる。

 

ただ一言、コワイ。

 

士幌でも、クマは出没する。

毎年、猟友会の方が、何頭かしとめている。

この森の周辺は、広大な牧場。

本来であれば、牧場近くにはクマは来ないはずだが、近年は、この森に巣を作っているという。

 

最初の2チームが。右と左の道に分かれて出発する。

そして、約10分後に、残りの2チーム。

 

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緊張する子どもたち。もちろん、スタッフも。

約2キロほど歩くと、二つの道は合流する。

 

今までにも、道を見失い迷子になったグループはあった。

そして、今回も、一つのチームが道を見失った。

 

ボクに連絡が入る。

「ひるめしーずが、ゴールに来ていません」

 

この瞬間のヒヤッとする感覚を何度味わってきただろうか。

ボクは、一緒にいるグループから離れ、すぐに捜索を始める。

 

携帯電話がなかったころは、やみくもに、ともかく必死に探すしかなかった。

 

なんとか、無事に道を見つけて、全員がゴール。

 

かつて、しっかりと大地に立っていたミズナラの木は、その幹を大地に横たえている。でも、死んだわけではない。

その太い幹からは、新しい木が生え、森を再生していく。

 

23:40 ロッジ到着。

3日目の実習が終わった。

 

 

 

 

 

 

 

29回グロースセミナー3日目その5

朝昼晩お食事は、通称「めしたき隊」というサポーターたちが担当する。

 

グロース前日に入り、大量の食材を購入し、毎朝4時起きでご飯を炊き、子どもたちの栄養バランスを考えたメニューで用意する。

それだけでなく、最終日に子どもたちを見送った後も残って、後片付けをして翌日に帰京。

おもてだって見えないけれども、グロースを支える最も重要な役割。

 

さらに、40名近い人数の食事を用意し、おまけに食事の時間が何時になるのかその時にならないとまったく分からない。

7時から、と、ボクが指示しておきながら、子どもたちに何かしらのトラブルが起きれば話し合いが始まり、いつ食事を始められるのかもわからない。

それでいて、いつも子どもたちに出来たてを食べられるように、工夫をするのは並大抵のセンスでは難しい。もちろん、体力も。

 

今回のめしたき隊長はCHIE。

 

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ひとり黙々と仕込み中のCHIE。

去年初参加でイントラ見習いをし、今年は自ら志願して食事を担当してくれた。

何人ものサポーターと協力して毎回、おいしい食事を用意してくれた。

 

3日目の夕食は、子どもたちのカレー作り。

めしたき隊の、ほんの束の間の、気を休められる時間。

 

士幌高校からロッジに戻り、子どもたちに伝える

「とって来たイモを使って、おいしいカレーを子どもたちだけで、グループごとに作ってくれ!」

 

スタッフは一切口出ししないし、手伝いもしない。

じっと見守る。

時には危ない包丁使いに、ヒヤヒヤしながら。

 

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グループで工夫を凝らす

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包丁!!

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ほとんど遊びながら。

 

リピーターの子どもたちは、このための準備をしてくることも多い。

カレールーに、ルーを粉のように細かくしたり、コーヒーの粉を入れたり、スープカレー(意図していなかったのかもしれないけれど)に仕立てたり、

 

子どもたちのカレーを食べるのは、本当に楽しみ。

全員で協力し、野菜や肉をカットしたり、煮込んだり。

1時間40分という時間を、子どもたちが設定し、よーいスタート。

 

初めて包丁を持つ子どももいるけれど、それぞれのグループで皆が何かしらの役割をもって調理している。

 

結果、1時間39分55秒!!!

大急ぎで席に着き、全員で「イッタダキマース!」を叫んで食べる。

大家族の雰囲気を味わえる、この瞬間が、ボクは大好きだ。

 

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夢中になって食べる

 

同じ食材を使っていても、グループごとに味が違う。

良く煮込まれているイモもあれば少しかためのイモもある。

濃いカレー、薄めのカレー、どれもこれも絶品だ。

 

あっという間に鍋の中身は空っぽ。

 

いつもは、子どもたちからサポーターに、大きな声で「ごちそうさま」を言う。

 

でも、このときは、ボクたちスタッフ一同が、子どもたちに「ごちそうまでした」を言う。

 

時間は夜9時を回った。

でも、この3日目には、最後の大冒険が待っている。