代書屋さんという仕事
昔、運転免許証の更新に鮫洲に行くと、周辺に「代書引き受けます」の看板がたくさんあったのを覚えている。
免許証更新に必要な様々な書類をかわりにタイプ打ちしてくれるので、助かっていた。
だから、代書屋という仕事はそういうものだ思っていたら、実は、手紙を代わりに書いてくれる、それも代理としてというよりも、依頼主の気持ちそのものになって、文字まで変えながら書き送る仕事があるのだということを知った。
本当にそういう仕事があるのかどうか定かではないのだけれど、小川糸さんの『ツバキ文具店』を読んで、いたく感激したのです。
糸さんの小説は、なんだか、読んでいるうちに時間の流れがとてもゆっくりと、そして丁寧に過ぎていく感覚を覚える。
以前読んだのは『食堂かたつむり』
失恋の傷心で声を失ってしまった主人公が、ふるさとの山間に帰って、小さな食堂を開くお話。
今回の『ツバキ文具店』は、厳格なおばあさんから引き継いだ鎌倉の文具店で代書屋をやっているお話。
どちらも自分の持っているものを押し付けるのではなく、その軸はぶれないまま、客の要望にとても丁寧に応対していく。
セラピストもそういう仕事の一つだろうか。
型通りのやり方にこだわったり、自分の考えを主張をすることなく、でも軸はぶれないまま、クライアントの心に丁寧に寄り添っていく。
どちらも心打たれる作品です。
是非一読を。
そして、セラピストの仕事にも、ぜひ興味を持ってみてください、ね。
父との邂逅
ボクの父親は、20数年前に亡くなっているのだけれども、昨日その父の存在を久しぶりに味わった。
家には仏壇があって毎朝挨拶をしているし、時折墓参りもしているのだけれど、昨日は特別に父の人となりや存在をとても身近に感じることができたのです。
数年前に出会った、女性Aさん。
上品で明るくて、楽しい女性です。
ご主人が経営されている会社が青山にある、との話から、ボクも若いころに住んでいたのでつい、「どのあたりですか?」と聞いてびっくり。
ボクの父が所有していた土地を購入してくれた方だった!
そこには、1階から中2階までが西洋骨董で、それよりも上の階がオフィスというちょっと変わった3階建て。そしてその隣にある一軒家(ボクはその家の2回に住んでいた)があった。
Aさんの儀父さんが買い取ってくれて、1978年にその会社の社屋に生まれ変わり、以来変わらずに青いタイルの素敵な建物がたっている。
「あっ、その節はありがとうございます」と、深々と頭を下げられ、恐縮したのを覚えています。
「その時に、お父様から頂いたお地蔵様は、今も大切にさせていただいてます」
ボクの父は、苦労していた若いころに、困ったときにはいつでも街角にお地蔵さんがいて助けてくれた、という理由で、お地蔵さんを信仰していた。
石仏やブロンズなど、ことあるごとに作家さんに作ってもらい、それをいろいろな方にあげるのも好きだった。
ボクにもブロンズのお地蔵さんや、大理石のお地蔵さんを渡された。
知らなかったのだけれども、その土地の売買の際に、石のお地蔵さんをプレゼントしていたらしい。
そんなことから、それ以来Aさんと親しくさせていただいていました。
昨日、その会社の50周年記念と、ご主人の旭日小綬章受賞のパーティにボクたち夫婦が招待され、きっと場違いになるから、と何度も遠慮したのですが、結局行くことに。
帝国ホテルのその会場には、取引先や業界の方々でいっぱい。おそらく1000人近くはいたのではないでしょうか。
いわゆる業界パーティのようなぎすぎすした感じはなくて、その会社が愛されていて、またご主人のあたたかな人柄があふれた、素敵なパーティでした。
Aさんも当然忙しそうだし、ボクたちは業界関係でもないので、会半ばで帰ろうとすると、Aさんが、「柴崎さんぜひご紹介を」と。
ご主人のご兄弟姉妹のご家族で埋まったその席に連れられていかれると、皆さんから
「あー、あのときの!」と興奮気味にあいさつをされたのです。
あの時に、あの土地を譲っていただいてから、、、、
あの場所を譲っていただけていなかったら、当社は、、、、
あそこに本社を築いてからわが社は、、、、
と、中には涙ながらに感謝の言葉を伝えてくれる方まで。
「家の庭に、頂いたお地蔵さまがあります」、とケイタイの写真を見せてくれた方も。
父は、みなさんに「ふるまう」のが好きでした。
今風に言い直せば、「与えるのが好きだった」ということでしょうか。
父を誇らしく思い、こんな不思議なご縁でつなげてくれた「おやっさん」を、昨日は肌で感じることができたのです。
今年の秋には、ご主人とAさんは所蔵しているアートを展示する美術館を開館します。おやっさんも、絵画芸術が大好きだった。
きっと、楽しみにしているに違いない。
3月 卒業 そして旅立ち
3月のイメージは、啓蟄、早生の蕗、モクレン、さくらえび、などなど。
でもやっぱり3がつは、卒業式、です。
日本人は、「3月に終わって、4月に始まる」というDNAが、からだの中にはっきりとあるのを実感します。
クエストでも、3月は修了式があり、卒業生が送り出されました。
子ども未来研究所では、各クラスで、3月は子どもたちの承認式があります。
1年間、アートで楽しみながら成長してきた子どもたちが、ひとりひとりセラピストから承認の言葉を送られます。
恥ずかしがって隠れたてしまう子どももいるし、涙をためる子もいる。
はしゃぎまわる子もいれば、おすましの子も。
そんな様子を、ママたちもハンカチ片手に見守ります。
子ども未来研究所は創立22年目を迎えます。
その間、子どもたちのアートワークセラピー教室は、20か所を超え、現在も素晴らしい自己表現の場をセラピストたちが提供してくれています。
先日、その中の一つ「はだかんぼっ!」と言う川口の教室のセラピストTYさんと、SEさんがあいさつに来ました。
なんの挨拶かと言うと、「子ども未来からの卒業」です。
子ども未来で育ったこのクラスが、4月からは、おおざっぱに言うと、川口市の関連事業の一つになり、駅前で新しい教室としてスタートするのです。
これ、大ニュース!です。
民間NPOとして地域に根差してやっていたことが認められて、より大きなフィールドで始まるのです。
この教室は5年前にできた幼児向けのクラスですが、前任からの引継ぎとして数えてみると優に10年は開講していたことになります。
グラフィックデザイナーでもある二人のセラピストのクラスは工夫にあふれ、毎回子どもたちの心を元気にしてくれていました。
「先生が、子ども未来を始めてくださっていなければ、はだかんぼっ!もありませんでした。はだかんぼっ!がなければ、私たちの今もないわけです。本当に、今までありがとうございました。」
たくさん承認してもらっちゃいました。
うれしかったです。
それだけじゃなくて、このクラス独特の修了証までいただきました。
「はだかんぼっ!」は、はだかのつきあいが基本です。
はだか、だから、” 銭湯 "、 のイメージ。
銭湯だから、修了証は、紙じゃなくて、手ぬぐい。
てぬぐいに、印刷して、ひとりひとり手書きで名前を書いて、子どもたちに渡すんだそうです。
ボクにも、同じ修了証をいただきました。
子ども未来を卒業して、さらに広い海にこぎ出した「はだかんぼっ!」と、TYさんとSEさん。
これからも、かわらずに子どもたちのための素敵な場を提供し続けてくれると思います。
いってらっしゃーーーーい!
日曜ゼミ始まりました(親ゼミのことです)
昨年10月にスタートした親ゼミ。
先月、水曜日コースがいったん終了。
世のママたちは、働いている人が多いので、平日だと来たくても来れないママがいるのではないか?
そんな、声にこたえて、日曜日コースが本日スタートです。
クエストの卒業生、子ども未来の教室の主催者、その教室に子供を通わせているママさん、参加する人は、そんな方々が多かったのだけれど、最近、ちらほらと、
「本を読んで見つけました」とか
「子育ての悩みをネットでいろいろ探していたら」とか
そんな、新しいつながり方でいらっしゃる方が増えてきました。
今日もおひとり。
中学生と高校生のお子さんを持つママさん。
悩みと言うのは、人とは比較ができなくて、どんな悩みでも自分の悩みは重く、苦しいものです。
おまけに、自分のことじゃなくて、子どものことですから、自分にはどうしてあげることもできない。
せめて、転ばぬ先の杖に、と思いながら、介入しすぎると、肝心の子どもとの関係性がぎくしゃくしてしまう。
悩みは尽きませんね。
親ゼミに来るママさんたちのアンケート(終わってから書いてもらいます)を読むと、「考えたこともなかったこと」とか
「自分が成長しなきゃなりません」とか
「子どもを思い通りにしようとしていた」とか
ともかく、素敵な気付きの連発です。
ボクが伝える大切なことはたった一つ。
「子どもを成長させたいんだったら、ママがまず成長しよう!」
わが子や、家族のことを考える前に、「自分の幸せを考えてあげましょう」ってことです。
2時間のゼミで、きっと心が軽くなるはずです。
週明けの水曜日は、水曜日ゼミの次のステップを始めます。
これで、ゼミは、毎月2回になりました。
まだ来ていないママさんたち、声を掛け合って、是非いらしてください。
お待ちしています!!
知らない自分を知る
かれこれ、30年以上、「自分を知る」ための講座をやっている。
アートセラピストになるうえで、セラピスト自身が自分を知っていなければならない。
ユングは、「教育分析の重要性」を語っている。
「クライアントになすのと同じように、いやそれ以上の徹底性をもってセラピストは自分を見つめなければならない」と。
ボクは、セラピストだけじゃないと思っている。
誰にとっても、生きていくうえで「自分を見つめること」は大事だ。
でも、その徹底性となると、一人ではなかなか向き合えない。
おまけに、向き合ったからと言って「自分をすべて知ること」は難しい。
それほど、人間を理解することはできないのだ。
「知ってどうする」とか
「自分ことはわかっている」とか
「怖くて見ることはできない」とか
向き合うことをしなかったり、先延ばしにする人は多い。
でも、一日でも早く自分を見つめることをしてあげるだけで、人生は驚くほどに前に進んでいくことを、ボクは確信しているし、自信を持って言える。
ボク自身、まだまだ知らない自分がいる。
先日修了した41期生からもらった似顔絵も、facebookにアップしたら途端にたくさんのいいね、が寄せられた。
自分では、「これはいくら何でも似てないでしょ」と思っていたのに、コメントの声は「似ている!」ばかり。
おまけに妻の千桂子先生からも、「そっくり」の一言。
知らない自分が、まだ存在している。
42期生、4月から始まります(^^)
閃きがもたらす奇跡
「閃きと創造の人生学」という、少々力の入ったタイトルの講座を昨年からやっています。
今回が2期生。
その講座の中に合宿研修があり、先週の土日で熱海に行ってまいりました。
昨年と同時期なのに、今年はあたたかで快適な2日間。
昨年もそうでしたが、一人一人がひらめきを止めている「自我の壁」を突破した時に起きる、奇跡とも思われる体験をしていきます。
文字で書くと、「そんな大げさなぁ」と思われるかもしれませんが、自我の壁を突破した時に起きる体験に、毎回驚かされてしまいます。
この講座は、ボクの自己分析講座の半年間を終えた人たちを対象としています。
いってみれば、上級編。
家族と言うシステムの中で構築された価値観は、時には人生を前に進めてくれることもあれば、壁となって成長を阻むこともある。
家族は、よきにつけ悪しきにつけ、自分の成長に必要な情報にあふれています。
残されたあと1回の講義で、2期生は終了です。
秋頃に3期生を募集する予定です。
閃きと創造を人生に取り入れていくことに興味のある方は、是非コンタクトしてください。
親ゼミナール IN 大阪
昨年から始まった「親ゼミナール」
東京では大変好評で、講演会は2回、さらに5回講座は毎回盛況で先日終了した。
第2クールも評判上々で、お母さんたちの意欲が伝わってきます。
さて、遅ればせながら大阪で、講演会と1回だけ講座を行います。
「柴崎嘉寿隆の特別講演会&親ゼミナール」
講演会では、親として子どもへのかかわり方のヒントを学びます。
昨年9月に私が監修して発売された、旺文社『親が知っておきたい大切なこと 友達関係』の反響が大きく、そのことをもっと知りたいという方のための講演です。
午後は、エニアグラム。
宇宙人のような子どもたちとどうかかわればよいのか。
それは一律ではなく、子どものタイプによって効果的な言葉がけが異なります。
もちろん、お母さん自身のタイプによっても、イライラポイントが違ってくるのです。
エニアグラムは、数千年の歴史ある智恵の集大成の心理学。
面白くそれでいて納得のいく理論を、皆さんと共有していきます。
残席わずかです!
参加希望の方はお早めに。