第30回グロースセミナー3日目その2(8月2日)
関東直撃の台風が迫ってきております。
どうやら私が5-6歳の頃以来の強力な台風のようです。
どうぞ、皆さま命の安全確保を!
お互いさまに!!
マウンテンバイク(MTB)を選ぶ。
さらに、ヘルメットとひじ当てひざ当てを装着してから、駐車場で練習を開始する。
子どもたちが、きちんとブレーキを握れているかどうか、
ハンドルをうまくさばけているかどうか、
止まれ!と言われた場所で止まれるかどうか、をチェックする。
初参加組は、道路に出て、下り坂を走らせて、ボクが直接チェックする。
下り坂なので、ペダルはこがない。
スタートさせた後に、
「はいブレーキ!」
「ブレーキ放す!」
これを繰り返しボクが叫んで、その通りに走ってもらう。
懸念していた1年生は順調に、みな言われた通りブレーキを握り、放し、そして制動できている。
ところが、2年生のKSR。
去年は、身長が足りないうえに、手が小さくてブレーキを握れなかった。
ものすごく楽しみにしていたのに、自転車は得意なのに、ヌプカに用意してあるMTBは彼女には大きすぎたようだった。
悔しい思いをしたKSRは、満を持して今年に臨んだ。
ところが、、、、
今年も、ブレーキをしっかり握れない。
「止まれー!」の合図で制動できない。
KSRは必死にブレーキを握っているのだけれど、止まれないから結局足ブレーキをすることになる。
「足はペダルの上!」と叱られる。
何回も何回もチャレンジしたものの、しばしばの「合格」はもらえなかった。
「KSR、ブレーキが握れなければ乗せられない。残念だろうけど、応援だ。」
目にいっぱい涙をためている。
チャレンジさせてあげたい気持ちはやまやまだけれども、安全のためにもやらせるわけにはいかない。
数年前に、こんなことがあった。
やる!と決めてチャレンジしたものの、坂道を目の前にしてペダルに足を乗せられない。
ブレーキを握ったまま手を離せない。
チーム全員でサポートし、ボクやイントラが必死にサポートした。
感心したのは、その時のチームが、文句ひとつ言わずに、ずっと励ましながらそばにいてくれたこと。
あの時は、約5キロの下り坂に2時間以上かかった。
そんなこともあったので、安全のためには、MTBではないチャレンジをすることになる。
KSRは、乗りたくて仕方がないのに、さぞかし悔しかっただろう。
「KSR、悔しいな。でも、今年も応援だ。みんなを力いっぱい応援してもらえるか?」
KSRは、泣きながら大きくうなづいた。
10:30 いよいよ、チームごとに出発。
ボクは、1年生のHKのサポート。
1年生には、誰かしらサポートがマンツーマンで就く。
1年生のHKは、何とかブレーキを握れるものの、長い坂道をどこまで頑張り切れるかわからない。
少しの気のゆるみで、大きなけがにもつながるMTBだから、こちらも必死だ。
「ブレーキ!」
「ブレーキはなして!」
「足出すなー!」
「しばしばを追い越すなー!」
全身に力を込めてブレーキングをし、またブレーキを話す、この繰り返し。
怒鳴られながら、HKは、なんとか約5キロを降り切った。
(後日感想文に、この時のしばしばがものすごく怖かった、と書いてあった(^^)
他の1年生たちも、無事に坂を降り切った。
ここまでくると、少しだけホッとする。
それでも、まだ気は抜けない。
まだ、上り坂や、長い下り坂、そして、砂利道が、待っている。
1年生の女子SRAも、TMMは、気持ちよさそうに、思った以上に順調に降りて行った。
休憩ポイントで、全チームが集まる。
そこで、出発前に泣いていたJRAを見つけた。
満面の笑顔だ。
「JRA、ここまではどうだった?」
「楽しーっ!」
「そうか、何が一番楽しかった?」
「くだりざか!」
なんと、あれだけ怖がっていた下り坂が一番楽しかったと!!
怖かったものを乗り越える。
ボクたちの日常に、どれだけそんな機会があるだろうか。
経験から、うまいこと回避したり、無理だなと思えば、先送りするか、あきらめる。
でも、JRAは、必死に向き合った。
終わってみれば、なんてことなかった、で済んでしまいそうなことだけれども、これがどれほど大きなことだったことか。
JRAは、そんな達成感や喜びをしっかりと味わえたようだ。
ボクはJRAに、何よりもあきらめずにチャレンジしたことを、心から承認した。
休憩ポイントの後は、長い道のりを走り、最後に試練の砂利道だ。
ハンドルがとられ、ペダルをうまくこげない。
しまいには転倒する。
低学年にとっては、最後の最後に待っている辛い時間だ。
SOUは転倒し、HRTは続ける気力がなくなる。
RKは、走行が危うく、ついにオヤジにストップをかけられた。
疲労もあるし、転倒もして、気持ちが弱気になっている。
RKは、続行は危険と判断して、軽トラに乗せた。
SOU、HRTは結局やり切った。
砂利道が終わり、最後のゴールに向かう道で。
貢さんは、軽トラに乗せていたRKと、KSRを、MTBに乗せた。
チームと一緒にゴールさせりために。
それだけでも、二人にとってはうれしい体験だったようだ。
満面の笑顔で、ゴールしてきた。
走り切った満足感で、お互いを承認しあい、このゴールの中央公園で弁当を食べた。
しばしの休息。
3日目は、まだまだ続く。