第30回グロースセミナー3日目その1(8月2日)
3日目朝、快晴
今日も暑くなりそうだ。
6:30起床後、体操と5分間チャレンジ。
朝食をとり、この日のプログラムを伝える。
リピーターの子どもたちの多くが、一番の楽しみにしているマウンテンバイク(MTB)だ。
ワーッ!と歓声が沸く。
高原から、約30キロの道のり。
牧場を見ながら公道を走り下りる。
下り坂があれば、きつい登坂もある。
見渡す限りまっすぐに続く、十勝ならではの道もある。
ロッジからの最初の5キロは急な下り坂。
この坂が、低学年にとっては、恐怖の5キロ。
とても牧場を見る余裕などはない。
ブレーキを握りっぱなしだと。ブレーキを握る力がなくなってしまう。
スピードが出て、ハンドルがぶれ、MTBを止められなくなる。
最後は、足を出して、足ブレーキで止まろうとしてしまう。
今までに大きなけがはなかったものの、急ブレーキでMTB前転ごと前転したり、スピードを出しすぎて、転倒したり、と何度もヒヤッとさせられたことがある。
子どもたちはマウンテンバイクのチャレンジをやるのかどうか、チームごとに決める。
全チーム、やる気満々であっという間に決まった。
が、決まった後になって、JRAの表情が曇っていく。
全員が、ロッジに準備に出て行った後に、JRAを呼び寄せて話をする。
「JRA、どうした?」
泣いているJRAは何も答えられなくなっている。
「怖いのか?」
うなづくJRA。
「で?どうしたいんだ?」
「やりたい、でも、、、、、」
「そうだよな、2年連続で怖くてできなかったんだ。今年こそって思えば思うほど、また怖くなっちゃうかもなぁ。
でも、やるか、やらないかは、JRAしか決められない。だから、JRA,お前が自分で決めるんだ。」
JRAは、1年目、MTBがものすごく楽しみと言いながら、恐怖でペダルを踏み出せなかった。
2年目の昨年も、「今年こそやる!」と言いながら、結局は踏み出せなかった。
だから、今年への意気込みは相当なものだっただろうと思う。
誰にとっても、恐怖を乗り越えようとするにはとてつもない勇気がいる。
体操の選手は失敗したらすぐにやり直しをするという話を聞いたことがある。
時間を空けてしまうと、恐怖でその技ができなくなってしまうらしい。
JRAは2年間もその恐怖と一緒にいる。
震えるのも仕方ない。
こんな時に、大人のボクたちにできることは何だろうか。
励ましたり、力づけたし、叱咤したり。
でも、それは、必ずしも自立にはつながらない。
自分がその立場で、いろいろ言われたら、
「うるさい、黙ってろ、」と、叫ぶかもしれないし、
「やっぱりできないよ、今度にするよ」などと、泣き言をいうかもしれない。
しばらくして、涙を拭いて、はっきりと「やる」と言って、準備をしにロッジに戻った。
結局、JRAは自分で決めた。
ボクたちにできることは、ボクたちの望むことをやらせることではなくて、子どもたちが自分で決めることのできる、環境を提供してあげることだけ。
そして、何を決めようとも、そのことをいったん受け止めてあげることなのです。
続く