「自分軸で生きる」 

誰だって自分を知る旅の途中 だからこそ自分を知ることの楽しさを伝えるブログ

第30回グロースセミナー2日目その1(8月1日木曜日)

4時、まだが陽が昇る前に起き出して、高原の様子を確認する。

 

今日も晴れそうだ。

 

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夜中に雨が降ったせいか、虹が出ていた

RKの様子を見る。

 

一緒に寝ていた道代に聞いてみると、ぐっすり寝ていたという。

 

5時少し前に声をかけてみる。

 

寝ぼけ眼で起きたRKの熱を測る。

 

37℃。

 

大丈夫そうだ。

 

後はRK自身の気持ち。

 

「RK、おはよう。気分はどうだ?」

 

「だいじょうぶ」

 

「そうか、きのうは、家に帰りたいって言ってたけど、どうしようか?」

そう聞くと、間髪入れずに「帰りたい、休みたい」と涙を流しながら言う。

 

「そうか、帰りたいか。わかった。じゃぁ、帰ることにしよう。ところで、予定よりも早く帰ってママに何て言うんだ?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「途中で帰ってきたらママに、理由を伝えないといけないからなぁ。

熱が出ちゃったし、さみしくなったから帰ってきたっていう?」

こう聞くと、気弱になっている子どもでも、考えながら首を横に振ることが多い。

 

でもRKは、待ってましたとばかりにうなづく。

 

 

「そうか、じゃあ、こういうのはどうだ?

『さみしかったし、すごく熱も出たけど、ボクは全部参加して頑張ったんだよ」って言いうのはどう?」

するとRKは、しばらく考えた末に、今度は首を縦に振った。

 

「それじゃあ、どうしようか?もう少しみんなと頑張ってみるか?」

 

涙を拭きながら、大きくうなづいたRKは、途端に強くたくましいRKに生まれ変わったようだった。

 

1年生ながら、初めて親元を離れてきた。

心細かっただろうけれども、RKは、ほんのわずかなうちに「自分で決めた」。

 

ピーターパン・パンの作者、ジェームス・バリーは、

「子どもはほんの30秒で成長する」と書き記している。

 

グロースセミナーでは、こういった瞬間を、何度も目にする。

「よし、じゃあ、みんなのところに行って、テントの撤収を手伝おう」

 

そこからのRKは、もう二度と泣きべそをかかなかったし、帰りたいとも言わなくなった。

RKの気持ちのシフトに驚かされる。

 

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この瞬間をいつもカメラで狙うのが好きだ

高原のてっぺんまで上がると、もう子どもたちは起き出していて、そこここでテントの撤収が始まっていた。

 

RKは、一目散で仲間たちのもとへ走っていった。

 

 

そんな中で、だいぶ離れた場所でみんなに背を向けて、ひとりしゃがみこんでいるHRTがいた。

 

しばらく放っておいた。

 

10分ほどたったころに、イントラのケイイチを呼んで、指をさし、「行っといで」、とだけ伝える。

 

どうかかわるのかは、いったんケイイチにまかせてみることにした。

 

遠くから二人の様子を見ていると、HRTは首を横に振ってうつむいたまま。

 

長くグロースに参加し続けて、今年初めてイントラになったケイイチに、ボクは絶大な信頼がある。

彼のリーダーシップも、仲間への愛情も、まだ高校1年生とはいえ、その質の高さをボクは買っている。

 

でも、HRTはなかなか動いてくれないようだ。

 

しばらくして、ボクは二人のもとに様子を見に行く。

 

「どうした?」

HRTは、しゃがんだままうつ向いている。

 

 

ボクは、昨晩RKが発熱して「帰りたい」と言いながら泣いていた時に、近くまで来て様子を見ていたHRTを知っていた。

その時のHRTの目には、涙があふれそうだった。

HRTは2年生の初参加。

彼も親から初めて離れてのキャンプだ。

彼なりに、我慢していたのに違いない。

 

「HRT、いったん立とうか。」

両足できちんと立った状態で話をする。

 

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たまたま3人で色がそろっていた

「昨日RKが泣いていた時に、本当はおまえも泣きたかったんじゃないのか?あのとき、頑張ったのか?」

 

「うん」

 

「よし、そのことはお母さんに報告しなきゃな。泣きたくなったけど、頑張ったって。

じゃあ、今日これからのことはどうしようか?」

 

うつむくHRT

 

「HRTはどうしたいんだ?」

そう聞くとHRTはすかさず、

 

「迎えに来てもらって帰りたい」という。

 

「そうかぁ、帰りたいんだな。ただ、これから、お母さんに連絡して飛行機を予約して来てもらえたとしても、今日来れるかどうかはわからない。おうちまで送ってあげたいけれどしばしばやスタッフはここを離れるわけにはいかない。どうしようか?」

HRTは、黙り込んだまま泣いている。

 

「仮に、迎えに来てもらえたとして、HRTはお母さんになんて言うんだ?」

今朝のRKへの関わりと同じ。

だまっているHRT に、

 

「『ボクは、さみしくなって帰りたくなったから、おかあさんに迎えに来てもらった』って?」

力強くうなづく。

 

「そうか、いずれにしろ、HRTのことだから、自分で決めよう。

いいか、帰るも帰らないも、やるもやらないも、ぜーんぶHRTが決めるんだ。

このグロースはそういう練習をする場所。

しばしばは決めるんじゃなくて、お前が決めるんだぞ。

みんなと協力して、全部の実習をやり遂げるのか、やらずに帰るのか、自分で決めてくれ。」

 

するとHRTは、すかさず「1番」と答える。

 

一瞬何のことなのかわからなかったのだけれど、最初に言った「協力してやること」を指しているようだ。

 

「えーっと、、、、確認させてくれ。HRTは、お母さんに『ボクは帰りたくなったけど、最後までやり通した』って言いたいのか、『帰りたくなったから迎えに来てもらった」って言いたいのか、どっち?』

 

HRTの答えは、また、「一番!」だった。

 

HRTの気持ちや考えに、どんなシフトが起こったのかは全く分からないけれど、HRTはボクの目を見て、はっきりと言った。

 

「よし、じゃあみんなでテントを片づけている。HRTも手伝いをしてくれ」

 

すると、突然、涙を拭きながら、仲間のところに向かって猛ダッシュで駆け出していた。

 

まただ。

この瞬間に気持ちを切り替える潔さ。

 

本当に、子どもたちから多くを学ぶ。

 

続く