グロースブログ まずはリートレから。その1
すっかり秋めいてきました。
今年の夏を思い出しながら、30回目のグロースセミナーを振り返ります。
今年もいろんなことがありました。
心待ちにしていた皆様、遅くなりましたが、すこしずつ公開していきます。
***************************************
2年に一度のリーダートレーニング。
今年のグロースは、このリートレから始まりました。
リートレは、グロースのリピーターで、中学2年生以上が参加できる、2泊3日のトレーニング。
グロース本隊を迎えるまでの2泊3日。
ボクが、以前企業研修などで提供していた、大人向けのトレーニングを、思春期の子どもたち向けのリーダシップトレーニングに手直しをしたものだ。
*初めて読む方、グロースセミナーは、小中学生対象の「自立のための野外体験学習」です。北海道十勝にある士幌高原で、毎年夏に行われているキャンプ実習です。
http://www.cof.or.jp/hokkaido_growth/
参加者はAST、TKT、YKの中3男子3人と、中2女子のMKの計4人。
このリートレの目的は、
青春期を目前にした彼らが、これから高校、大学進学や社会人になっていくうえで、「自分」という存在にしっかりと向き合ってもらうため。
多くの人のためのリーダーになるというよりも、自分という人間のリーダーになっていくためのトレーニング。
まずは、「リーダーって、何?どんな人?」と、彼らが持っているイメージを問いかける。
ありきたりな、人をまとめるとか、引っ張るとか、そんな一般論ではなく、彼らなりに描くリーダー像をきちんと言語化することから始める。
当然、正解はないから、自分の考えをひねり出さなければならない。
「人がついてきてくれるように、楽しい場を作れる人」
「まとめるだけじゃなくて、楽しむ場を作る」
「まとめるのも大事。自分も楽しくてみんなも楽しめる」
「自分の考え、行動についてくるような人」
彼らなりに考えて紡ぎ出した言葉。
これを、ボクは、あれこれ正すつもりはまったくない。
大事なことは、これをこのリートレで実践し経験をしていくこと。
「言っていることと、それを生きること」を学んでほしいのです。
そのうえで、また自分なりのリーダー像が生まれていくはずだから。
世の中の、既成概念や、一般論ではなく、自分なりの考えや実践を経験する場がグロース。
そのための環境を提供していくのがボクの役割です。
そんな中で初日の夜のこと。
さっそく、彼らにとっての大きな学びの瞬間が訪れました。
リートレでは、食事は自分たちで作ります。料理が得意だ、というメンバーもいて、4人で楽しく通り始めた。
ボクと同行している千奈の分を含めて6人分。
しばらくして、様子を見に行った千奈から、
「4人に何かあったらしくて、YKが料理をせずに部屋にこもっている」と。
グロースでは、何かしらの問題が起きたときにこそ、大きな学びを得ることが多い。
さっそく料理部屋に行って確認。
「YKがいないけれど、何があったんだ?」
すると、3人は神妙な顔つきで説明を始める。
「YKが、自分も料理を作りたいと言ったんだけど、軽い冗談?を言ったことで、YKが機嫌を損ねてしまったらしい。」とAST。
謝りにも行ったけれど、
「食事はいらない。次のトレーニングが始まったら参加するからいい」と言われたとのこと。
ボクはさっそくYKを呼び、4人全員からヒアリングをする。
勝手な解釈や憶測を避けるために、全員の前でひとり一人から聞きます。
でも、それは原因探しをすることが目的ではありません。
誰が悪くて、誰が間違えているのかは全く関係がないのです。
大事なことは、今まさに起きていることが、自分たちの欲しい状態なのかどうかに気付くこと。
彼らは、それは欲しい状態ではない、と言う。
そうなると、一般的には、「じゃあ、どうすればよかったのか」という反省モードの話になりがちだけれども、グロースでは、「本当はどうしたかったのか」を考えてもらいます。
YKは、「自分も料理を作りたかったのに、お前は必要ないと言われて、、、」
ASTは、「軽い冗談のつもりで言って、YKが怒ったから謝りに言ったけど、、、」
すかさずYKは
「サッカーボール蹴りながら謝っても許せるわけじゃないじゃないですか!」
こういうケースだと、
「原因」追究。
たとえば、ASTの軽い冗談と謝り方。
ありがちなのは、原因を作ったASTに謝罪をさせる。
さらには、途中で料理を放棄したYKにも反省を促す。
残りの二人にも、何かできたことがあるだろう、と考えることを促す。
これで一件落着。
握手でもさせればそれでおしまい。
でも、これでは、学びにはなりにくい。
グロースでの学びは、いい悪いを見つけることではないし、反省させたり悪いと言う点を改善させるためでもない。
実は、ちょうど料理を作り始める前のトレーニングで、大事な学びを彼らはしていました。
何かを目指すときに、「そのチームのつながりが、結果を作り出す」ということ。
言い換えれば、チームのつながり度合いの、そのままの結果として目の前に現れるということだ。
どれだけ、本気で向き合い、お互いを認め、ビジョンを共有し、与えあうかかわりであるのかどうか。
うまくいかなかったときに、その原因を探すのではなく、あらためてチームのつながりにきちんと向き合ってみるということ。
4人にとって、お互いに向き合い、真のつながりを作り出していく、とてもいいチャンスが訪れたのです。