『評伝 昭和の女傑 松田妙子』
手元に一冊の本がある。
先日、「お別れの会」で頂いた。
松田妙子氏の評伝である。
昭和を生きた、いや未来を作り出したと言ったほうが間違いない、女傑。
この本は読み始めたばかりだけれども、お付き合いはもうかれこれ10数年になる。
アートセラピーは、日本では正式な資格として認められていない。
どこのスクールも、自分で認定を出すことぐらいしかできないし、クエストも当初はそうだった。
当時、文科省の外郭団体だった(現内閣府所管)、生涯学習開発財団の理事長であった松田妙子氏から、
「アートセラピー、いいじゃない、がんばりなさい」
という言葉をいただき、財団の認定を出していただけることになった。
豪快で、歯に衣着せずに発する言葉は、時に厳しく時にやさしさのあふれたものだった。
「アートセラピーは、現代人のストレスケアにとても役立って、、、、」
と言いかけると
「 Stress ! What ! ストレスの何がいけないの?ストレスは生きていくのに大事なのよ、ストレスを悪者にするのは許さないわ!」
90を間近にした女性とは思えないほどに、ピシャっと言い放っていた。
92歳になる今年、お元気なまま、ご本人の言っていた通りに「ピンピンコロリ」で、あっという間に旅立って行った。
この世でのお役目にけりをつけたのだろうか。
先日のお別れの会には、会場から人があふれるほど。
献花台の遺影は、今すぐにでも何かを話し始めそうだった。
戦後まもなくアメリカにわたり、大学卒業後に米NBCに勤務し、プロデューサーとして辣腕を振るう。
まだ、女性が働くこと自体がまれだった時代の、昭和30年代の話だ。
帰国後は、日本の住宅建築に一石を投じたツーバイフォーを普及させ、エイジレスの課題に取り組むために「生涯学習開発財団」を設立した。
現在放映中の大河ドラマ「いだてん」に登場した、大森兵蔵と安仁子は、彼女の叔父と叔母である。
もう、理事長にはお会いできないけれども、ボクの耳にはいまでも声が響き残っている。
「いいじゃない、しっかりおやりなさい!」
理事長、ありがとうございました。
合掌