知らなかったこの作家 原田マハ
この作家のプロフィールを読むと、「度胸」と言う言葉が頻繁に出てくる。
開館準備をしていた美術館に飛び込みで「雇ってください」と言い、その度胸を買われて、就職。
飛び込みのプレゼンで、その度胸を買われて有名商社に中途入社。
世界中のコレクターやギャラリスト、美術館との交渉も、語学力はなくとも度胸だけでなんとか奇跡的にやり抜く。
などなど
原田マハと言う作家をご存知だろうか。
初めて手にするこの作家の本だったけれど、冒頭の第1章からその物語の世界に引き込まれてしまった。
『楽園のカンヴァス』
アンリ・ルソーの「夢」と言う絵画を巡ってのミステリアスな、ワクワクする物語り。
成長と共にいつのまにか、アートは「観るもの」になってしまいがちだ。
美術館で、有名絵画展に出かけ、絵を見る前に解説を音声で聞いたり、説明文を読んでしまう。
あー、これがあのゆうめいなさくひんなんだ、どれどれ、、、、なるほど、、、って感じ。
かの岡本太郎画伯は、「美術館では、絵だけを見て歩き、心に響いた絵があったら、その前で立ち止まり、それをじっくりと味わえばいい」と言う。
『楽園のカンヴァス』を読みながら、著名な絵画がいくつも紹介されていく。
どうしてもその絵を観たくなる。
「あれ、どんな絵だったかなぁ」と思い出せないまま、「あっ、こういう時にはGoogle先生!」
見事です。
この『楽園のカンヴァス』に登場する有名絵画がまとめて紹介されていた。
小さな画面ではあるけれど、やはりすぐれた作品には言いようのない魅力がある。
その絵を見ては、小説に戻り、読んではまた絵を眺める。
それを繰り返していくうちに、ぐいぐいとアンリ・ルソーの「夢」の中に引き込まれていく。
専門家ではないから、本当にそうだったのか!と思わせるような物語。
これは、面白い本だった。
読み終えてしまうのが惜しい作品だった。
前回本屋さんで購入したカズオ・イシグロの『浮世の画家』と、この原田マハの『楽園のカンヴァス』
どちらも大当たりだった。
物語は、ボクの想像力を高めてくれる。
そして、ボクの物語の世界が広がる。
だから、イマジネーションは、クリエイティビティにつながっていく。