日曜日の散歩
日曜日がお休みと言う日常を、30年来ほとんど持たなかった。
週末に講座があったり、イベントがあるから。
だから、娘たちが幼いころには、一緒にいてあげる時間がなくて、今となってはどうにもならないことではあるけれど、申し訳ない気持ちである。
最近、仕事のペースが変わり、ときおり日曜日にプライベートの用事を入れる時間ができた。
昨日の日曜日もそう。
マンションのリノベーション、と言うものに興味があり、その説明会があるというので青山まで出かけてきた。
が、その日のテーマが違っていて、ほしい情報が得られないことがわかり、断念。
時間が余ってしまい、せっかく青山まで来たのだから、恵比寿までぶらぶらお散歩しようということに。
いつもは車を走らせてしまうが、街並みをゆっくりと楽しめた。
青山なのに、こんな昭和の家もある、とか、
青山でもさすがにこんなところには住みたくないなぁとか、
こんなお屋敷に住んでいるのは、どんな奴なんだ、とか
路地裏もあるんだとか、
これはうまそうなケーキ屋だとか、
無責任極まりない発言を繰り返しながら歩いた。
ぶらぶらと歩いているうちに、そういえば先日テレビで紹介されていた美術館が近くにあることを思い出す。
おまけに、その作品にあった和菓子まで頂けるという。
たどり着いたのが、山種美術館。
国内でも珍しい、日本画だけを展示する美術館。
この日は始まったばかりの奥村土牛さんの生誕130年の展示だった。
http://www.yamatane-museum.jp/exh/2019/togyu.html
そういえば、昨年この美術館に縁のある方から、この桜の絵が入ったカレンダーをいただいていたことを思い出しました。
美術館を作った山崎種二氏が、若いころから支援していた画家らしい。
土牛さんの名前は、美術好きの父親から聞いたことがあった。
作品をじっくりと見るのは初めてである。
「絵にはその人柄が出る」と、師と仰ぐ小林古径から言われていたそうだ。
どれを見ても優しい気持ちになる作品ばかりだった。
きっと、やさしさにあふれた方だったのではないかと、勝手に思い描いてしまう。
土牛は100歳を超えても、描くエネルギーを失わずにいたという。
セザンヌに影響を受け、自由に描けるようになったと解説にあった。
93歳で描いた「海」の絵を描いている最中のそんな様子がうかがえる写真があった。
解説にも、「楽しく描けた」なんて書いてある。
理想ですね。
そんなふうに人生を喜びに満ちて生きていられるのは。
帰り際に館内のカフェで、作品にちなんだ名前の和菓子とお茶をいただいた。
美術館は疲れる、、、と言う印象が強かったが、この日ばかりは、やさしい気持ちで鑑賞を終えることができた。
日曜日の散歩。
なかなかいいものでした。