ことばの力
『水は答えを知っている』という2001年に出版された本を知っている人は多いと思う。
世界中でベストセラーになったこの本は、各地の水の結晶の写真を載せている。
それだけでなく、水に言葉をかけてからの結晶の写真が衝撃的だった。
「ありがとう」と言う言葉をかけてからの水の結晶の形は美しい。
その反面「ばかやろう」と言葉をかけた水は、まともな結晶にすらならない。
言葉には力がある、と言うことなのだけれど、何でこの話を思い出したかと言うと、似たようなことを読んだから。
これも随分前に出版された本だ。
『人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ』ロバート・フルガム
人と仲良くしましょう、とか
自然を大事にしましょう、とか
みんなで分け合いましょう、とか。
ひとをぶたないで、とか
ずるはしないこと、とか
使ったらまた元に戻しましょう、とか。
この世の中を見渡せば、幼いころに親から学んだ大事なことを、誰一人覚えていないか、守ってはいない。
ケンカ(戦争)はするし、
自然破壊もする。
人よりもたくさん奪い取ろうとするし
暴力をふるう。
作るだけ作って壊れてもごみにすらできないものを創り続ける
この本の中で紹介されているエピソードがある。
南太平洋ソロモン諸島では、木を伐採するときに、あまりにも大きくて斧で歯が立たないとき、原住民はその木を怒鳴りつけて倒す、と言う。
本当かどうか著者も定かではないようだけれど、何かで読んだと言い切っている。
夜明けにそっとその木に忍び寄って、いきなり大声でわめくのだそうだ。これを30日間続けると、木は次第に衰えてついには倒れるのだという。
嘘のような話だけれど、言葉にはボクたちが知りえない力が宿っている。
言霊と言う言葉をボクたち日本人は知っている。
道元の修証義の中に、「愛語よく廻天の力あることを学ぶべきなり」と言う言葉がある。
「愛語」とは、心のこもった親愛の言葉のことであり、「廻天の力」とは、天地をひっくり返すほどの働きのことを言う。
お母さんたちへの講演でも伝えたのだけれど、ボクなりの言葉に置き換えると、これは「承認の言葉」。
人(子ども)を尊重し、心から敬愛し、対等に認め合う言葉。
人(子ども)を活かし自立させ、承認する自分をも成長させてくれる。
まさに「愛語よく廻天す」である。
近々、長年一緒に生活してきた娘二人がほぼ同時期に、一人住まいをするために家から出てゆく。
さて、どんな承認の言葉をかけて送りだそうか。